彫る前に知りたい般若のマメ知識


KANです。

 

 

よくリクエストいただくモチーフ、

今日は般若について

掘り下げてみたいと思いますので、

お付き合いください。

 

 

彫り物で般若といえば、般若面。

能では幽霊だったり、

嫉妬に狂って恨みをはらそうとする

女性の姿として表現されます。

 

そもそもなぜ、この面が般若と

呼ばれるようになったのでしょう。

 

 

般若タトゥー、般若面刺青、ヘソ下

 

 

般若という言葉が使われる

もっとも有名なものは『般若心経』。

調べてみると諸説あるようですが、

般若面の由来はココにありました。

 

 

時は室町…

僧侶でもある一人の能面師がいたそうです。

ある時、己の能力の限界を感じて

創作活動が行き詰ってしまう。

何とか神仏に願をかけてでも

素晴らしい能面を作りたいと考え、

自ら「般若(仏の智慧)坊」と名乗り

面打ちに励んだそうです。

これ以降、能面師「般若坊」が作る鬼の面の評判が広まり、

次第に鬼のようなこの面を

般若と呼ぶようになったとのこと。

 

 

ちなみに能では

その彩色により白般若、赤般若、黒般若があり…

 

白般若は

源氏の愛を奪った葵上を恨み、

やがて鬼相となって登場する

六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)という高貴な女性として。

 

赤般若は

思いを寄せた僧の安珍に裏切られ、

激怒のあまり大蛇となって襲いかかる少女清姫として。

 

黒般若は

旅人の血を吸い肉を喰ったという

奥州安達ヶ原に住む鬼婆として、表現されるそうです。

 

 

今や世界中の彫師が彫る般若には

青や紫などといったカラフルなものもありますが、

もちろん!それらもまったくOK。

ただ日本人として

こういった時代や文化背景を知ることで

般若を彫る際の参考にもなるかと思います。

 

 

 

般若タトゥー、般若面刺青、上腕

般若タトゥー、般若面刺青、肘下

般若タトゥー、般若面刺青、背中

 

能面のように、ただただ怖いだけではなく

気品や悲しみをも感じられるような表現が

彫り物にも反映できれば,,,と

改めて思った次第。

 

 

参考にしていただければと思います^^