俺たちの国芳 わたしの国貞
ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか?
自分の方はと言いますと、
連休初日にお休みを頂き、
鈍った体に鞭を打ちにジムワークをしてきました。
学生の頃は上げられた負荷数も、
今やほぼ半分が一杯一杯でした。
体の衰えを感じつつ、
久しぶりのジムワークで最近お悩みの肩こりもスッキリでございます。
体のコリをとった後は頭のコリをとりに、
渋谷はBunkamuraザ・ミュージアムにて開催中の
ボストン美術館所蔵-俺たちの国芳わたしの国貞-展
に行ってきました。
噛み砕いて言えば浮世絵の展示会なのですが、
この浮世絵、実は刺青と密接な関係があります。
刺青文化が広まり始めた江戸後期、
その頃は現在のように、
彫り師が下絵を描き施術を兼務するのではなく、
施術は彫り師、
下絵の多くは主に浮世絵師が担当していた歴史もあったようです。
そんな和彫りのルーツとも言える二人の作品展、
みっちりと2時間半舐めるように拝見してまいりました。
《館内は写真撮影が禁止ですので、
ここでは自分が個人的にググッと来たものをでググって画像を転用しています。》
まずはこちらの役者絵シリーズ
《御誂三段ぼかし(おあつらえさんだんぼかし)》
今でいうところのアイドルのポラロイドのようなものだそうです。
同じような構図構成に初見では感じられますが、
よく見ると一枚一枚代紋のデザインが異なったり、
その他当時の人気役者の個性が随所にちりばめられ、
各々ファンは挙ってこの役者絵を購入していく様が安易に想像できます。
特筆すべきはこの時作者の国貞はすでに70代。
70代にしてこの色使いのセンス。
世相を反映した柔軟な姿勢とどこまでも尽きない探究心には関心させられました。
およそ350ある作品のなかで一番時間をかけて見ていたのが
《当世好男子伝(とうせいすいこでん)》というシリーズです。
[当世好男子伝-松-]
[当世好男子伝-竹-]
[当世好男子伝-梅-]
タイトルの表す通り、
当時の人気役者たちを刺青のデザインとしても人気のある
「水滸伝」の人気登場人物に見立てている作品です。
タイトルにある「好男子伝」という当て字も-粋-そのものですね!
「松」「竹」「梅」
と取り合わされた9枚を全て揃いたくなるような、
コレクター心理をくすぐる方法も江戸っ子っぽく言うのであれば「あっぱれ」の一言です。
このように浮世絵には随所に絵を使った駄洒落のような遊び心が見て取れます。
これは和彫りのデザインでもすごく勉強になる点だと個人的には思っており、
持参したメモはこれからの絵のヒントになる重要なテキストになりました。
その他、伝記や奇談等、想像力と表現力の溢れた作品の事もメモしたり、
途中で気になったやつは、
もう一度戻って見たりと随分と忙しく、
会場内を行ったり来たりしておりました。
おそらくジムワークと同じか、
それ以上のカロリーを使ったような疲労感がありましたが
その分得た物は大きく、
これから先の仕事に良く影響していきそうな気がしています。
GW中も休まず開催されているようですので、
連休の空き時間にフラッと立ち寄るのにオススメです◎